大田の家
日本
小さな丘に架かる屋根の住まい
島根県大田市で計画した住宅。石見銀山にほど近く、田園風景のなかにゆるやかな丘陵が連なる穏やかな環境に位置する。敷地は小さな丘のように盛り上がった地形で、その頂上部が上段と下段の二つのレベルに分かれている。この特徴的な高低差を造成によって均すのではなく、丘の起伏に寄り添いながらひとつの大きな屋根を架け渡すように計画した。
建物は夫婦ふたりのための平屋住宅であり、ひとつながりの空間の中に多様な居場所を望まれた。空間はガラスで仕切りながらも視線と光がゆるやかに交わる構成とし、天井の高さや開口部の位置の違いによって空間の性格を変化させた。
LDKと寝室には、周囲の風景に呼応するように連窓を設けた。腰壁を設けることで、開放的でありながらも落ち着いた内向性を併せ持つ。ロフトには大きな開口を設けることで、景色を切り取るだけでなく山並みや月を眺めながら過ごす場とした。またこれらの窓は採光や眺望だけでなく、風の通り道を生み出し、丘の上を渡る風が建物の中を抜けていく。
時間の経過とともに丘の植生が成長し、建物の足元は緑に包まれていく。やがて建築は地形に溶け込むような佇まいとなり、まるで丘に大きな屋根をそっと掛けたような風景を形成するだろう。
- 建築家
- 小松隼人建築設計事務所
- 年
- 2021
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