Strata House
北海道倶知安町, Japan
Strata Houseは、住宅の既成概念を超えた抽象的な構成により、日常に新たな風景をもたらす建築である。3つの整然とした直方体のボリュームが積み木のように重なり合い、静謐かつ大胆な存在感を放つ。
敷地は北東に羊蹄山を望み、周囲には隣家と既存の木立が広がる。建物はその景観を最大限に活かすよう配置され、視線の抜けを生むことで風景が敷地全体に広がるよう計画された。
クライアントの要望である「屋内外が連続する空間」は、積層するボリュームによって1階の駐車スペース、2階のリビングとバルコニー、3階の寝室という明確な構成に集約されている。2階のボリュームをわずかにずらすことで、羊蹄山の眺望が切り取られ、空間に動きが生まれている。
空間構成は無駄を排し、各階が役割に応じて設計されている。1階にはガレージ、ストレージ、スパ、和風の温泉、2階にはLDK、バルコニー、3階にはプライベートな寝室が配置される。すべての空間が流れるようにつながり、長い廊下や使われない隅は存在しない。
冬には、エッジ部分に降り積もる雪が建物を柔らかく覆い、風景と一体化する。夏には道南杉の淡い色合いが周囲の木々と調和し、自然とのつながりを強調する。この木材は豪雪地帯に適応し、軽量かつ耐久性に優れ、環境への負荷も少ない。外装に使用された約8,000本の木材は、職人の手によって一本ずつ丁寧に施工され、縦方向の木目がボリュームごとの輪郭を際立たせている。
1階のインテリアは、ダークグレーの左官壁と炭色の石タイルによって静謐な空間を形成し、スパとしての機能を支える。木材の壁面が自然な動線を生み、階を上がるごとに木材の使用が増していく。3階では、フルハイトのガラス窓から羊蹄山を望む空間が広がり、自然との対話が完成する。
この住宅は、都市的要素と自然の調和、機能性と情緒性を高い次元で統合し、日常に穏やかさと深みをもたらす。空間の細部に至るまで丁寧に設計されたStrata Houseは、生活そのものを豊かに彩る静謐な住まいである。
- Architekten
- SAAD - sudo associates, architecture and design
- Standort
- 北海道倶知安町, Japan
- Jahr
- 2015