月のとびら(小田原さんの家)
東京都中野区, 日本
月のとびらは、2019年から3年間限定でオープンした貸しスペースです。
主にはAirbnbで世界中の旅行者の旅の宿として、また時にはイベントや貸しギャラリー、撮影会場として。
さらに宿泊込みの食事会やパーティースペースとしてなど多目的な用途に利用されています。
実は2019年から家主の小田原さんが、3年間、地方に転勤になることになりました。
こういう場合、もちろん不動産屋さんを通して3年間の定期借家にするのが一般的ですが、
そうすると3年間の間は、家主の小田原さんですら、この家には入ることができませんし、どのように使われるかも予測不可能です。そこで、先行して自宅をAirbnbで運用されていた飯島さんに協力をお願いして、3年間、レンタルスペースとして運用させていただく事になりました。
そんな風に手探りで始めた事業でしたが、たくさんの素敵なゲストや街の皆さんとの出会いがあり、今では世界中の方々からたくさんのレビューを頂くようになりました。
家にとっては、短期利用を繰り返すことで、その度に清掃が入りますので、住んでいる時よりも、家が磨かれていくような感じすらします。
何より時には、小田原さんも自分の家に帰ってくる事が実現しています。
3年後、あっという間かもしれませんが、たくさんの出会いと繋がりとともに、小田原さんにお返しできたらなー。
前面道路より。2階まで直接アプローチできるため、家全体が街に開かれたようないろんなイベントに利用されています。
うつわや小物を展示するのにとても映えるギャラリーです。商店街と連続した雰囲気で、イベントを行う事ができます。
また、ニコ設計室の出張所としても時々、利用させていただいています。
2階はテラスまで開け放して、ゆったりと過ごす事ができます。外階段から、直接2階に出入りする事が可能なため、1階と分けて利用することもできます。
2階の台所は全体を利用して、食をテーマにしたイベント利用の方に好まれています。
3階には、お風呂と、トイレとゲストルームになる部屋が二つあります。小田原さんの選んだ大きなバスタブは、ゲストに一番人気です。
畳の書庫として作った黄色の部屋は、実はこの家で一番人気の寝室になっています。不思議。
屋上も、良い季節は人気の場所です。街が一望できます。
子供部屋だった部屋なので、お子さんの作品が置いたまんま。そういうところが、民泊のおおらかさですね。
今ではかなりツタが外壁を覆い始め、植物の少ない商店街でのグリーンスポットになっています。
2階の居間より商店街を見ると門型の街のピロティーが、商店街の賑やかさを適度に仕切っているのがよく分かります。
商店街に出たくなったら、いつだって。
それこそ、街に住んでいるという醍醐味です。
こんな商店街と暮らしの関係を描いて設計したのです。
家と街のあいだに。