鈴波 栄森の地下街店
愛知県名古屋市, Japan
上質な空間体験を目指して
計画地は、昨今の再開発による発展が目覚ましい栄エリア地下街の一角で、21mを超える間口と5m強の奥行きから成る細長い形状が特徴である。
店舗の壁は厚さわずか6mmの鉄板とし、高さを変えながら直線のリースラインに沿わず湾曲させることで、内外の距離感を揺らがす境界を生んだ。また、壁は既存躯体および照明との関係により奥行きと陰影が現れ、地下街において異質な存在感を放つ。この曲げ加工は制振性において極めて効果的な曲げ率としており、意匠・構造一体のデザインとなっている。
地下街の特性上、考慮しなければならないのが空調の吹出し口・照明といった設備や点検口の類の配置である。地下とはいえ外気に面しているため高い空調能力が求められ、照度も店舗に設ける照明に大きく依存する。法規的に設置が求められる機器もあり、多くの店舗はこれらを合理的に天井に散らしてしていくことが一般的だ。今回、壁を金属板による仕上げとしたことで、その規格により等間隔に目地が現れるため、床や天井に余計なラインが現れることは相応しくないと判断した。そこで、床は目地を必要としない特殊なテラゾー仕上げとし、天井に所狭しと設けなければならない各設備は、折上天井を設けその上がり天側に集中させ、下がり天側には一切の設備が付かない美しい仕上げとなるよう配置をコントロールした。
ここに、地下街らしからぬ上質な空間が成ったと確信している。
- Arquitectos
- ナノメートルアーキテクチャー
- Año
- 2024
- Equipo
- 吉村靖孝建築設計事務所
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