LT城西
業界的にも珍しい新築のシェアハウスの計画です。近年急速に増加しつつあるシェアハウスは、水回りやリビングを住人たちで共有する、いわば大きな家のようなスタイルの住まいです。
異なるのは住まい手が家族でない他人であること。そこには運営的にも空間的にも、他人同士が自然に場を共用し住みつづけるための、独特の技術が必要となります。
今回の設計は新築であることを積極的に捉え、建築全体の構成を考え直すことによってシェアハウスとしての空間を作りました。
共用部と個室の配置を同時に検討し、個室の立体的なレイアウトによって、残余としての共用部に異なる居心地の居場所を複数作り上げました。
吹き抜けたエントランスホールや、ダイニングテーブル付近は、多人数で集まるのに適している一方で、共用部の隅にあるリビングや窓際のスペースは、一人でも思い思いに時間を過ごすことも出来るスペースです。
キッチンカウンターは比較的少人数のコミュニケーションに適しています。
2階のラグスペースは最もリラックスした空間です。
こうした空間作りによって、住人はより気軽に個室の延長として共用部を利用できるようになります。
また平面図では一見同じに見える個室の性格は、リビングからの距離や経路といった共用部との関係性や天井の高さによって、一つとして同じものがない状況を作り出しました。
これだけの豊かな共用部と8畳の個室を有していながら、この建築は延べ床面積を居住人数で按分すると23㎡ほどしかありません。世の中に無数にあるワンルームマンションがむしろ特殊にみえるほどに、このシェアハウスは効率的で豊かな建築となっています。
- Ano
- 2013













