松阪の家

三重県松阪市, Japan
Fotografia © ToLoLo studio

この敷地にはもともと、4回の増改築を経た木造住宅2棟に鉄骨造の元事務所が継ぎ接ぎされた建物が建っていた。無計画に繋がり続けた建物は回遊性を失い、薄暗い庭や不思議な段差があった。当初は5回目の増改築として既存建物全体にコンクリートの筒をぐるりと回し、回遊性を与え住環境を調停する計画だったが、計画開始から1年ほどが経過した頃、諸事情により既存住宅を完全解体しなければならない状況となり、止むなく新築とする方針に舵を切った。

 熱量を注いだ改修計画と設計を裏付けるコンテクストが消え、何を頼りに考えるか模索していたところ、建主からの「前の家でやっていたように、屋上で風に当たりながらお酒を飲みたい」、「陽を浴びて暮らしたい」というふたつの要望だけが頼りになった。これに応えたのがホールと光庭である。ホールの斜面は屋上に行くためにつくった。過剰ともいえるこの空間は、かつて豪商の町として栄えたこの地域に散見される塀を空間化したものだ。背後の生活空間を道路から離してプライバシーやセキュリティを確保し、この住まいの顔として表出させる。本来、塀が担う役割をこの無機能な空間に託した。

生活はホール背後の回廊部で成り立ち、その中央にあるのが光庭だ。ここで重要なのは縁側状の回廊があること。中庭形式でリビングと連続する庭とはせず、生活は外周部に張り付き、縁側回廊を挟むことで空間に規律が生まれ光とその動きだけに視線が奪われる。

 ホールと回廊部は機能の有無、天井高、光の入り方などあらゆる面で相反している。このふたつの空間を単純に接続しているが不思議と不協和音は生じず、むしろ互いの空間性を補完し合っているように感じられる。

 新築を検討するにあたり、かたちとしては残らなかったものの第5の増改築計画時の空間性をここにも受け継いだ。一見、敷地に馴染みない出で立ちではあるが、その間取りにはこの場に残る記憶の残滓が宿っており、このようなかたちが生まれたことにひとつの必然性を感じている。

Fotografia © ToLoLo studio
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Architects
ナノメートルアーキテクチャー
Any
2025
Project Status
Construït

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