写真 © Soichi Fujimura
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NEST-NEST

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2006

鳥の巣作りは、枝振りのいい木に巣を架ける種もいれば、外敵から身を守るためにゆらゆら揺れる小枝に巣を架ける種もいる。巣作りの環境は子育てに何が重要かによって異なってくる。おのずとその環境に合わせた巣がつくられる。人の住環境の選択も同様である。生活的な立地がもともとあり、選ばれた敷地の可能性をどのように引き出すかが、我々建築家の仕事である。

この住宅は、高松市の中心市街地に立つ。計画に際し、高松市の航空地図を見ると不思議な感覚を覚えた。日常的に使っている道以外に、獣道のような小道が住戸の境目に通っている。よくよく調べてみると、かつてし尿の汲み取り用に使われたサブ動線であることがわかった。当然のように本件の敷地の脇にも通っている。下水が整備された今では、臭気も無く清潔で、心地よい路地空間になっている。隙間風が吹き込んで、夏場でも思いのほか涼しい。今回、この涼しさを住環境にも取り入れることに挑戦した。

この敷地は、中心市街地に南面したうなぎの寝床状の土地である。こういった敷地は、最も北側の部屋に採光を確保することが難しい。ここで試みたことは、コラム状の筒を作り、南面を全面開放し、入れ子状の箱(室)をバランスよくばらまくことで、木漏れ日のような光を奥まで届けることである。このことにより、奥ほど段階的にプライバシーが確保されることになる。

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