写真 © Yousuke Harigane
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諫早ホライズン

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場所
Nagasaki, 日本
2023
チーム
Principal Architect: Keiichiro Sako
Architectural Design
SAKO Architects
Interior Design
SAKO Architects
Lighting Design
SAKO Architects

この分譲マンションは、一級河川であり親水空間でもある本明川に面して建つこととなる。対岸には重要文化財の眼鏡橋がある諫早公園を望み、敷地近傍には1605年建立の慶厳寺があり、歴史的文脈が潜在する地域であると言える。
高層マンションからの眺望が良いということは同時に、対岸の歴史地区からは風景として大きな位置を占めるということである。そのため外観デザインは重要な課題であった。

「歴史的文脈を読み取り、良質なコンテクストの形成に寄与する」ことを目標とした。

具体的には、近傍の慶厳寺を参考に寺院建築の要素を抽出し、現代的手法で再構築した。
まず「欄干」に注目した。木材表面が黒化した中、白く塗られた欄干の水平部材は、全体を引き締める効果があった。テーパーの付いた片持ちスラブを建物本体の四周に回し、バルコニーと廊下を形成した。このスラブと手すりを「白」、その他すべてを「黒」とすることで、白い水平ラインが際立つ外観となった。
次に、最上階ではパラペットの立ち上がり寸法となるまで斜角を大きくすることで、屋根の「軒反り」を意識した形状とした。

エントランスホールは水平リブを施した打ち放しコンクリート壁で構成されている。水平リブがつくり出す陰影も加わり、美術館のような上質で落ち着いた雰囲気を醸し出している。

ラウンジは「鳥居」のような門型フレームが21個連なって構成されている。奥は白、手前は黒へと漸次的に変化することで奥行きが強調され、奥に設けた眼鏡橋の写真に吸い込まれるような効果をつくり出している。

小さいながらも異なる性質の中庭を2つ設けた。一つ目は「切り取られた中庭」、もう一つは「くぐって繋がる中庭」である。
前者はラウンジの軸線上に配置された中庭で、桜・芝桜・紅葉・白樫が植樹されている。大判ガラスを通して四季折々の変化を眺めることができる。コンクリート製のミニマルなベンチが浮遊しているかの如く設置されている。
後者はアプローチ空間に設けた出入り口の高さが1.0mの中庭である。暖簾のようにくぐって出入りすることで「繋がりながらも隔てている」関係をつくり出した。幼児にとっては「そのまま繋がる」中庭である。

アプローチには本明川へ注ぐ支流のような水景を設け、地域に開いた。夜になると住戸から漏れ出す明かりが白い水平スラブを浮かび上がらせ、建物全体が「巨大な行燈」のようになる。美しい夜景は歴史地区の景観に貢献するとともに、帰宅時の安心感にもつながっている。

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