A-Sestet
神奈川県, 日本
密度の高い住宅街、空間的な"韻"をテーマに構成した3層6住戸からなる賃貸住戸。住まい手の生活スタイルに応じて利用できる自在性と、住人自身の住まいとして、個性や帰属性を保てる独自性を同時に求められ、そうした中から、建築全体の基調を保ちながらも、いかに柔軟に様々な条件に呼応しながら住空間を生成していくかという事がテーマとして位置づけられた。
敷地南側に高低差があり、自在に段状に変化させた屋根や断面形状により視線を適度に遮り、積層する住戸に陽と風を導いた。基調の平面計画の分節手法と、重層手法を混成させ、陰影を生む統一感ある全体像と各住戸毎の特性との、双方を両立させた。
同じ言葉の繰り返しはないが同じ響きを含む分節が連なる詩のように、2つと同じ空間はないが同様な要素を周辺状況や機能的要求に呼応させ建築全体を生成。6枚のフラットな行をなす壁面にて全体を分節。
生活の主空間のゾーンと、水廻り・階段・収納など生活機能のゾーンを交互に配置することで住空間の音の干渉も低減しつつ、主空間は南北に連続するフラットな空間とした。可動間仕切りによって自在に分節可能。
3層に2住戸を鍵型に重層することで、全てに南からの陽射しを確保。それぞれが個性を持った住戸でありながら、共通の機能的なルールに基づいて構成されている場の集積が作る建築。ひと連なりの6つの住まいから、詩の定型である6行連=Sestetのように生まれた建築である。