鎌倉寺分の家

神奈川県鎌倉市, 日本
写真 © Akinobu Kawabe

家族の距離と多様な居場所
家で過ごす時間が長くなった昨今、住宅の中の居場所も変化が求められている。この住宅は、ちょうどその変化の中で計画が進んだ。
敷地は緑豊かな高台の縁に位置し、眺望がよく、隣地の桜の大木を借景として楽しむことができる。建主は以前より敷地近くに住み、子供やペットを介したおおらかな近隣関係を築いており、地域の風土を理解したうえで依頼されたのは、内と外が緩やかに繋がる風通しのよい家だった。 庭に求められたのは、人目を気にすることなくダイニングから地続きで使えるプライベートな空間と、友人が庭先から気楽に立ち寄ることができるようなオープンさだった。相反する状態を成立させるにあたって、土地形状を利用することにした。前面道路と敷地は1mほどの高低差があり、道路側の建物高さを低くすることで、道路からは威圧感のないヴォリュームで街並みに馴染ませつつも、敷地内部への視界を遮ることができる。

建物は、道路に面した西側に平屋、隣家が接する北側に2階建ての棟を「くの字型」に配置し、1階に庭へと続くリビングダイニングキッチン、水回りと主寝室、2階には庭に面した3つの個室と眺望テラスを備えたゲストルームが並ぶ構成とした。大小さまざまな形状と取り付け高さの異なる開口からは「くの字型」のレイアウトにより庭越しに互いの棟が見える。庭との視覚的な距離感の変化と主寝室やリビングの床に段差をつくることで体感的な居心地にも違いが感じられるよう計画した。

1階テラスは庇を伸ばし雨が当たらない屋外のダイニングスペースを、屋外階段でアクセスできる2階テラスはデイベッドとしても使える大ぶりな造作ソファを設えた。建物脇の小さな通用口から友人が庭を抜けふらりと訪れ、縁側での一時を楽しむようなスペースを想定している。家中に点在させた造作のベンチやソファーコーナーなど留まる場所を多く設け、気候や時間帯に合わせて各々が居心地のよい場所を選び、日常の中で季節の移ろいを楽しめる。

家中どこからでも鮮やかで生き生きとした庭を眺めるプランとなっているが、障子を閉めると一変して静謐な空間になる。家族の気配を感じつつも、距離をおきひとりの時間を愉しんだり、大勢で食卓を囲んだり、家の中に点在するたくさんの居場所がそれぞれ自由に活用されていることを感じた。

写真 © Akinobu Kawabe
写真 © Akinobu Kawabe
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写真 © Akinobu Kawabe
写真 © Akinobu Kawabe
建築家
八島建築設計事務所
2020
プロジェクトステータス
竣工済

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