佐伯の住宅

大分, 日本


谷合の集落に建つ老夫婦のための住宅である。老後の生活を豊かに送ることのできる環境をいかに提供するか、そしてこの地の豊かな自然環境をいかに建物の中へと取り込み、コントロールしてゆくかが主なテーマとなった。

緑に覆われた広い敷地の中に、夫婦の日常生活のためのオモヤ、接客と子や孫たちの宿泊のためのハナレ、そして納屋を兼ねた車庫の3つの建物が散りばめられている。

広い廊下や段差のない室内、建物だけでなく庭までも含めた回遊性を持つプランニングは、伸びやかでゆったりとした高齢者の生活に適応している。しかし、彼らにとって生活を豊かにする要素は、むしろ建物を訪れる人との交流であろう。

居間の南側に広がる開口部は全面が解放可能であり、屋内と庭とを一体化し、テラスの先にあるハナレと一定の距離を確保しつつも連続的な広がりのある場所を作り出している。ハナレに迎えられた客は、夫妻の日常生活に気兼ねせずに時を過ごすことができる一方で、彼らと同じ空間に居ることを実感する。こうした、近すぎず遠すぎない空間の関係が、夫妻と来客との間の精神的隔たりを取り払ってくれるのだ。

この建物を特徴づける屋根は漏斗のように雨水を集め、坪庭と玄関前の池へと水を導く。  

流れ落ちる水とその音は、人が自然と隣り合わせにいることを意識化し、池の水面に反射し、風に揺らめく陽光は、自然のうつろいを感じさせてくれる。外壁の頂部にあるスリット状のハイサイドライトは、柔らかい光を室内へと導き、時とともに変化する光の様子を映し出す。また、大きな開口部にしつらえられた木製雨戸は、台風などに対応するだけでなく、日射が強い場合の日除けとなる。こうして、自然環境はコントロールされながら建物と融合してゆく。

高齢者住宅というとバリアフリーであることが条件となるが、この建物は3つの意味でのバリアを取り払っている。一つめは、一般的な生活機能上のバリア。次に、夫婦と建物を訪れる人との間の精神的なバリヤー。そしてもう一つは、自然環境と建物の間のバリアである。

建築家
NKS2 architects
1999

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