上島町の家
多島美を望む、穏やかな住まい
広島と愛媛を結ぶしまなみ海道に寄り添い、県境に接する離島・上島町に建つ住宅である。敷地からは穏やかな瀬戸内の多島美が広がり、さらに北側には緑豊かな景色を望むことができる。温暖で降雨の少ない地域特性を生かしながら、西から北にかけて広がる風景を暮らしに取り込むことを目指した。
前面道路は一定の交通量があるため、1階には大きな庭を設け、豊かな植栽によって周辺からの視線をやわらかく調整しながら、海の眺望を楽しめるよう計画した。主室であるリビングに面しては、3mを超える深い軒を伸ばしたテラスを設け、内外が一体となるアウターリビングとしている。また軒裏には可動式の簾を設置し、西日の強い光を自在にコントロールできる仕組みとした。
洗面室からアクセスできるもう一つのテラスは、子供の遊び場としての利用や、将来的なサウナの設置など、多様な使い方を想定した多目的な外空間である。風の流れについては、リビングに入った風はキッチン上部のガラス欄間を通り、階段室上部の窓へと抜けていく。その他の居室も同様に、この階段室の窓を操作することで通風を調整できるよう計画している。
多島美と緑に抱かれ、自然の恵みを享受しながら過ごす、この地ならではの暮らしを穏やかに紡いでいる。
- 年
- 2025




























