真備町の家Ⅲ
岡山県倉敷市, Japan
- Architekten
- 藤原昌彦 / バウムスタイルアーキテクト
- Standort
- 岡山県倉敷市, Japan
- Jahr
- 2021
真備町の家Ⅱに続き、西日本豪雨により被災された家族の住宅である。
災害により石垣で囲われた土地の上に建つ住宅は屋根まで浸水したが、頑丈な石垣の敷地と桜やモクレン等の樹木は浸水に耐え、力強く生き残った。
この敷地に、家族と息子夫婦とその子供合わせて八人が暮らす二世帯住宅を計画することとなった。周辺環境は、田園風景が広がり南側には災害をきっかけに計画された防災公園(設計:隈研吾)が出来る予定である。
敷地は約200坪で二世帯が暮らすには十分な広さがある。計画において大きな主題となったのは二世帯間の距離であった。計画としては、親世帯と子供世帯のそれぞれの棟を南と北に二列配置し、二棟を玄関や水廻・個室で繋ぎロの字型の構成とし、中心に中庭を設けお互いの距離を保つ計画とした。
南棟の親世帯は、旧居の面影を引き継げるよう縁側を設け、南面に広がる山々と繋がる様にし、北面の中庭に対しては、息子世帯からの視線を遮れるよう開口部を低く設定した。北側の息子世帯は南面の中庭へ主室から出られるようにデッキを設けた。中庭を望むそれぞれの開口部によりお互いの気配を感じながらも、程よい距離感を保つことが出来た。
外観は、南棟・北棟は中国地方でよくつかわれている瓦屋根と焼杉板を外壁に使用し、二棟を繋げる部分を軽やかな鋼板屋根と白い外壁で繋げることで、二つの棟が際立つように考えた。造園については、造園家と相談しながら、以前より有った桜やモクレンを活かし、残っていた樹木も移設して新しい植栽と馴染むよう計画した。
また豪雨という自然の脅威に直面したため、建物高を高くするなどの対応策を考えるところだが、穏やかな風景が広がるこの地に高い建物は相応しくないとの判断から、平屋建てとした。自然と対峙しながらも、自然に寄り添う暮らしのできる住宅となった。
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