Edge to Stillness

虻田郡ニセコ町, Japan
Video ©
© Ikuya Sasaki

大正期の作家・有島武郎が所有していた自然豊かな農場跡地の丘を望む。
ニセコ町から町道を東に一直線に進むと、真っ正面に羊蹄山が聳える。
その景色に見惚れると、ついつい通り過ぎそうになる公園入口手前に敷地はある。
農場跡地の丘沿いに弧を描いて流れる尻別川の清流が境界線となり、緑豊かな丘と敷地を形作っている。
自然が形作った地形と景色に呼応するように、建物にも曲線を持たせ、環境との調和を図った。
その相互関係により、自然と建物の間に円形の中庭が形作られる。
清流とともに吹く風が、弧を描くファサードから渦を巻いて中庭へと吹き込むようなイメージだ。
手つかずの森と羊蹄山からの清流を庭の一部と捉え、外部環境との体感的連鎖の象徴として、縁側を計画の中心とした。
庭とファサードの境界線に沿って一本の弧を描く縁側を建物の内外に設け、前面を庭に向かって開口部とし、限りなく開放的にした。
すべての部屋は、この一本の縁側により繋がっている。
そして各部屋の引込み戸を開け閉めすることにより縁側は分節され、各部屋の一部となる。
椅子を置くのに十分なスペースからは、引戸の開閉に関わらず、それぞれがくつろぎながら四季折々の壮大な景色を楽しめる。
大きく外部へと跳ね出した庇は、天候を問わずシームレスに自然との対話を可能にする。
外部の庇の構造体をあらわしとし、それらの梁を内部の縁側まで引き込むことで、空間的なグラデーションを生み、
内部にいながらも、半屋外な雰囲気を感じることができ、内外の境界を限りなく曖昧にしている。
この建物は「建てる=隔てる」という葛藤の中で、限りなく中間領域を意識した計画としている。
建物の利用者の意識を周囲の環境へと強く向けさせ、環境との視覚的な連続性と一体感を醸成する。
単に外部に開けているだけではなく、機能面や構造、仕上げ方により境界線を曖昧にした。
自然と向き合い、ただただ安寧な時間を楽しむ場として計画した。

Fotografia © Ikuya Sasaki
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Any
2025
Equip
Tomoyuki Sudo, Anna Patrusheva
施工
須藤建設
照明デザイン
TILe
構造設計
山脇克彦建築構造設計

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