奈義中学校
岡山県勝田郡奈義町, Japan
岡山県の山間にある人口約5,500人の町につくられた公立中学校である。町の象徴である那岐山を背景に農村風景がおおらかに広がる一方で、町内には磯崎新による現代美術館があり、横仙歌舞伎などの文化的な土壌も育まれてきた。近年では子育てと教育の町としても知られ、文部科学省のGIGAスクール構想も含めた新しい学校教育に適合しつつ、この町の様々な活動を受け入れ、美しい風景と調和する学校を目指した。
校舎は高さを抑えたほぼ十字形の平面である。中央に二層吹抜けの屋内広場「ナギヒロバ」を配置し、そこから腕を伸ばすように東と南に2階建ての教室棟、北に平屋の図書・ランチ棟、西に駐輪場および体育館に至るブリッジを設けた。十字形によって屋外が4つに分かれ、南西と南東に既存の体育館とグラウンドをそれぞれ残し、北西と北東に新たに校庭と駐車場を配置している。この校庭は学校のオープンスペースでありつつ半ば街かどに開かれた広場とも言え、敷地の傾斜に合わせて自然と地域住民が引き込まれる学校と町との中間的な場をつくった。
中央のナギヒロバは約20m四方、高さ11mのRC造の空間であり、体育館より小さく、また教室や集会室より大きい。南北のGLの違いや2階床のレベル差を階段やスロープで調整しながら様々に変化をつけ、日常的な動線に加えて全校集会や授業、部活動や地域活動など多目的に使える場とした。ここから隣接する教室棟や図書スペースの様子が間近に見え、さらに斜め上に那岐山や空を望める。それら町の風景や生徒の姿をいつも感じられるコンパクトでありながら広がりをもつ“中心”をつくった。
この屋内広場から2階の「学習ヒロバ(教室前のオープンスペース)」につながり、各教室とそれに付属する「多目的テラス(ロッカールーム)」に分かれ、屋外のテラスがぐるりと囲む。徐々に広さを変えながら木架構に高低をつけ、外部が入り込み光の明暗をもつことで、異なる生徒の居場所と学習空間の差異をつくった。1階のほの暗く落ち着いたコンクリートの空間とも対比させ、それは授業の人数やその場所の違いも含めた新しい教育の展開に応えると共に、多感な生徒にとっての様々な居場所になる。
それら大小の異なるスケールに、あるいは木とコンクリートの連なりにえんじ色の低い屋根を架けた。この町の小学校や美術館にも見られる鮮やかなえんじ色が、那岐山を背景にして高さと奥行きを変えながら校舎全体を覆う。この学校で学ぶことが、その時間を共有した人々や周囲の風景も含めて記憶される、そういう柔らかな環境をもつ中学校を目指した。
- Architects
- 畝森泰行建築設計事務所
- Any
- 2024
- Project Status
- Construït
- 共同設計
- 丹羽建築設計事務所


















