風の街みやびら

広島県庄原市, Japan
Photo © Hiroshi Ueda

この建物は,広島県庄原市に建つ高齢者福祉施設である.利用者の家族や近隣の方が気軽に立ち寄れる,木の温かみがある家が理想という施主の要望から,地域に開放された遊歩道や路地,庭を設けて,木造平屋の特別養護老人ホームとショートステイ(以下,特養)が5棟,デイサービスが2棟,本部棟が1棟という分棟配置にしている.その際に,施設間を移動する職員の負担を減らすため,本部棟を中央に配置し,食事などは北側道路から車で搬出入できるよう配慮した.
最も大きな面積を占める特養は,小さなリビング(茶の間)を囲む3,4室の個室からなる住宅スケールのセット「コ・ユニット」を,3つ組み合わせて10人1ユニットにしている.さらに,夜間介護を考慮して職員コーナーがある大きなリビング(居間)と水回りで繋がれた2ユニットが各棟の構成単位となる.個室は4畳半の寝室と,3畳の多目的室に分けて,この地域の農村民家を参照し,寝室を「奥の間」,多目的室を「あだの間」と名付けた.ベッド回りの生活実態を精査して,従来の個室面積からあだの間を捻出することで,奥の間では介護のプライベート性を高める一方,あだの間では自発的な生活を営み,茶の間や外部と繋がるような,個々の状態に応じた生活の多様性を持たせた.また,個室の建具を開け放つと,コ・ユニットは多床室のような介護環境となる.繰り返し現れる家型は,ひとめで個室であることを認識させる効果もある.

家型の奥の間と,開放的なあだの間に包まれた建築は,訪れる地域の人からも,ここで暮らす人からも,小さな家が集まった町のように映る.あだの間は縁側,接客,家族室などさまざまな用途に使え,地域住民が気軽に立ち寄れる個室の玄関にもなる.ひとりひとりの生活風景が空間を彩るような,個に寄り添う介護をしたいという施主の新しい試みが,やがて普通の生活の場として周辺環境に溶け込み,ひとつの風景=町になっていくことを期待している.

Photo © Hiroshi Ueda
Photo © Hiroshi Ueda
Photo © Hiroshi Ueda
Photo © Hiroshi Ueda
Photo © Hiroshi Ueda
Photo © Hiroshi Ueda
Photo © Hiroshi Ueda
Photo © Hiroshi Ueda
Photo © Hiroshi Ueda
Architects
シーラカンスアンドアソシエイツ
Year
2014
Project Status
Built

Related Projects 

  • Moos
    playze
  • Reiters Reserve Premium Suiten
    BEHF Architects
  • Erweiterung und Instandsetzung Hallenbad Altstetten
    MIYO Visualisierung
  • Neubau von fünf Einfamilienhäusern
    Bäumlin+John AG
  • The Forge in der 105 Sumner Street in London
    Kiefer Klimatechnik GmbH

Magazine 

Other Projects by シーラカンスアンドアソシエイツ 

ROPPONGI TERRACE
東京都港区六本木, Japan
共愛学園前橋国際大学5号館 KYOAI GLOCAL GATEWAY
群馬県前橋市, Japan
あぶくま更生園
福島県田村市, Japan
HASE-BLDG.3
愛知県名古屋市, Japan
加東市立加東みらいこども園
兵庫県加東市, Japan